美容や健康など、身体に良い印象が強い薬膳料理。
ちょっと気になる一方で、特別なお店でしか食べられない食事、自宅で再現するのは難しい食事、そんな印象を抱いている方が少なくありません。
敷居が高いように感じられる薬膳ですが、食材や取り入れ方によっては、気軽に食生活へプラスでき、睡眠や美容に良い影響を与えてくれます。
今回は、薬膳料理と睡眠、美容の関係やおすすめ食材、かんたんレシピを紹介いたします。
そもそも薬膳とは
薬膳は、古代中国から伝わる食事療法です。伝統医学である「中医学」では、食材が持つ効能や性質を見極め、病気の予防や改善、健康維持に役立ててきました。
薬膳には「陰陽のバランス」「五行説」などの原理が用いられています。エネルギーの「気」、血液の「血」、体液の「水」がスムーズに巡ると健康維持につながる、といった考え方も取り入れられています。
薬膳と似た考えに、同じく「中医学」を元にした「漢方」があります。
どちらも植物や食材を使って身体にアプローチする方法ですが、漢方は主に病気の治療、薬膳は病気の予防や不調の改善、健康維持に使われる、という違いがあります。
陰陽、五行説、といわれると難しく感じられますが、食材が持つ力を知り、普段の食事に取り入れるのが基本です。できる人だけが実践する方法ではなく、誰でも気軽にスタートできる方法ですので、ぜひ試してみてください。
「なかなか寝付けない」
「すぐに目が覚めてしまう」
「身体の中からきれいになりたい」
そんな問題を解決するために、日本でも購入できる薬膳食材を使って、心や身体を整えてみましょう。
睡眠や美肌におすすめの薬膳食材とレシピ
スーパーやショッピングモール、Web通販などで購入できる、睡眠や美肌のために取り入れたい薬膳食材がたくさんあります。どのような食材が嬉しい力を発揮してくれるのか、おすすめの食材やかんたんレシピをチェックしてみましょう。
1:ショウガ(生姜)
日本でも広く親しまれているショウガは、薬膳でもよく使われる食材の一つです。
身体を温める力、リラックスさせる力があるため、冷えによる寝付きの悪さの予防、くつろいだ気持ちでベッドに入るサポートにつながります。
美容面では血の巡りの改善で、ターンオーバーの正常化、血行不良が原因の肌荒れ、乾燥肌などにアプローチできます。抗酸化作用によるアンチエイジングや、代謝向上によるダイエットサポートなども期待できます。
ショウガを使ったかんたんレシピ
身体を温めて、安眠に導いてくれるショウガは、ホットドリンクやスープと相性抜群です。チューブのショウガを常備しておけば、すりおろす手間もなく便利です。
ハーブティーにショウガを入れる
ショウガとハチミツをお湯で割る
野菜や鶏肉のスープにショウガを入れる
など、毎日かんたんに取り入れられるのがメリットです。
その他にも、日本でおなじみのしょうが焼き、お刺身などに添えられる薬味としてのショウガなど、幅広いレシピがあります。薬膳の力を取り入れたい方は、意識してショウガをプラスしてみてください。
2:ナツメ
ナツメは、中国原産のフルーツです。果物ですが、中国や韓国では料理に多く使用され、薬膳の食材として人気があります。
栄養が豊富に含まれ、ナツメを1日3個食べると歳を取らない、という言い伝えがあるなど、睡眠や美容をサポートしてくれる食べ物の一つです。楊貴妃が愛した果物とも言われています。
薬膳の考え方では、リラックスや精神の安定につながるとされていて、睡眠の質を上げたい方に向いています。美容面では、抗酸化作用によるアンチエイジング、血行促進による肌トラブルの予防、ターンオーバーの正常化などが期待できます。
ナツメをつかったかんたんレシピ
ナツメはフルーツですが、生の状態で購入できるお店はあまりありません。農家直送の通販サイトなどを利用すると、生ナツメに出会えますので、機会があればぜひ食してみてください。
より手軽に取り入れるなら、乾燥ナツメを選びましょう。スーパーの中華食材売り場、業務用食材を取り扱うお店、輸入食材を取り扱うお店などで、販売されています。
ドライフルーツとして販売されているナツメなら、そのままおやつとして食べられます。ヨーグルトやシリアルに入れるのもおすすめです。スナック感覚で取り入れられる、ナツメチップスという商品もあります。
中国や韓国ではナツメをお粥やスープ、参鶏湯などに入れるレシピが有名です。中国料理、韓国料理が好きな方は、本場の味を再現してみてください。
3:クコの実
杏仁豆腐などの添えられている赤い実、としても知られるクコの実も、睡眠や美肌に導く薬膳食材の一つです。海外では、ゴジベリー、ウルフベリーといった名前で呼ばれますが、イチゴと同じバラ科ではなく、ナス科の果実です。
クコの実には、自律神経を整える作用があります。そのため、睡眠前に食べると、ストレスや緊張状態から解放され、リラックスした状態で眠りにつけます。血行を良くするはたらきがあるため、冷えの改善にもつながります。
美容面では、豊富な栄養素によるアンチエイジング作用、解毒作用によるデトックスなどの力が期待できます。肌トラブルが起きている場合は、クコの実を食生活に取り入れると、改善につながる可能性があります。
クコの実を使ったかんたんレシピ
クコの実は、中国現地でも生では食しません。乾燥させる過程で、苦みや渋みが消え、甘みが凝縮されます。乾燥したクコの実は、スーパーやデパート、ディスカウントショップ、通販サイトなどで広く販売されています。
杏仁豆腐だけでなく、ケーキやアイスクリームなどのトッピングにしたり、スムージーに入れたりすると、美味しく継続できます。現地では、スープや火鍋に入れたり、煮込み料理に活用したり、普段の食事でも多く目にします。
酢豚にパイナップル、ポテトサラダにリンゴなど、食事の甘みを楽しめるタイプの方は、好きな中華料理などにも、トッピングしてみてください。
まとめ
今回紹介した以外にも、普段から使用する機会が多い、薬膳食材がたくさんあります。黒ごま(黒芝麻)、山芋(山薬)、クルミ(胡桃)なども、睡眠や美容への良いはたらきが期待できますので、普段の食事や間食に取り入れてみてください。
薬膳食材をはじめ、身体に良いといわれている食材が多くありますが、摂りすぎてしまったり、そればかりになってしまったり、という食べ方では、逆効果になる場合もあります。
一つの方法に頼るのではなく、良いテクニックを幅広く取り入れて、睡眠の質向上や美肌を目指しましょう。